医師免許を持つミスター慶應が、
戦略コンサルタントを選んだ理由は?

 

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医師免許を持つミスター慶應が、戦略コンサルタントを選んだ理由は?

「ぼく怠け者なんです」

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そう語る牧野潤さんは、2015年慶應義塾大学医学部を卒業、学生時代にはミスター慶應メディカルに選ばれ、現在は外資系コンサルティングファームに勤務している。医師免許を取得しているにも関わらず、新卒でスーツを着て働く道を選び、大学生・若手ビジネスパーソン向けの私塾「前田塾」で二期生として学んだ。

今回は、その個性的なキャリア観について語ってもらった。

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「あのとき再試がなかったら、今の職場にはいなかった」

僕怠け者なんです。勉強は好きじゃないし、サークルとか、学生団体、バイトもほとんどしていない。
インターンも、今の就職先以外は一切やっていない。そもそも今の就職先も、インターンする気はなかった。
普通の大学生は、サークルやバイトがちょいちょい入るから、長期休みもまとまった時間がとれない。でも僕は始まった次の日から終わる日までずっと行けるから、インターンに行った夏休みも、当然のようにセブ島に行っていた。勉強が苦手なので、前期の持ち越しで、再試みたいなのが夏休みにあって、その三日前に帰ってくることにして。インターンがちょうどその三日間だったんで、運命感じちゃって。試験勉強するつもりだったのに、ちょうど空いてるから行ってみようか、って。もしあのとき再試がなかったら、今絶対違う職場にいる。
インターンは、前田塾くらいの気持ちで行ったんです。色んな人と会えて、勉強になるって感覚で。

Q,医師免許を持っているのに、スーツを着て働くのはなぜ?

不思議なもんですよね。
そもそもビジネスに行くつもりはなかった。内定も一回断っているくらい。今もそうだけど、最終的には臨床医になるつもりだから。臨床医になる前に働いてるっていうよりも、臨床医になる上で、幅を広げる と言うと曖昧だけど、チャレンジしたいと思って。
医者でビジネスを学ぶ人はあまり多くないけど、今後医者としてスタートするときに、きっと生きる経験だろうと。
今の職場は、社会人としての一歩目を過ごす場として、十分すぎるくらいの環境だと思っています。

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「何を言っても良い会社で、唯一絶対に言ってはいけないこと」

Q,最終的に入社を決めた理由は?

社員の方と話していて、「会社では基本的に何言ってもいい」と言われた。普通って、1年目だったらとりあえず黙々と言われたことに従うのが良いみたいな雰囲気があるだろうけど、今の会社は、「何も言わないとお前石ころと一緒だぞ」っていう。筋が通っていれば何を言っても意見として認めてくれる。
でもひとつだけ絶対に言っちゃいけないことがあると伝えられた。それが「○○さんみたいになりたい」
なぜかというと、例えば社内に凄い人がいて、その人を尊敬して、なりたいって言っても、「いや○○さんはもういるから」ってなる。目指して頑張っても、8掛け7掛けくらいにしかならない。そういう人ってうちの会社にいらない。牧野潤だったら牧野潤にしかできないことを、強みを、伸ばしていかないといけない。「それを自分で努力して追求するのが義務だ」とまで言われた。そういうこと平気で真顔で言ってくるのが、面白い会社だなって。
人の流動性も高いから、僕みたいに「いずれは医者になります」っていうのも言えちゃうし。そういう意味でも合ってる。

1-FAolQYgbvk_Fh3w14yhRdQ仕事について語る牧野さん

入ってからは、生半可な気持ちではやってけない。入社する前とは考え方が変わってきていて、入る前は正直「どうせ医者になればいいや」っていうのがどこかにあった。良いところどりして、学んで、いつ辞めてもいいしって。
勿論長期的には医者にもどるつもりだけど、今はとりあえず考えないことにした。天秤にかけたり、逃げ場を用意してると、絶対に無理だから。今は目の前の仕事に100%捧げようと。そうしないと、潰れるなと思った。
周りもレベルが高いから、劣等感を感じることもあるけど、それを求めているところもあって。余裕あったら意味ないじゃないですか、今日早く終わったしアフター9楽しもうみたいな(笑)。
前田塾に入ったのもそうだけど、自分で自分をハードな環境に追い込まないと成長できないタイプだから。要求されるレベルは高いけど、その環境に助けられている。「のんびりやろう」なんて無理で、がむしゃらにやって、それでも「お前全然ダメ」みたいな環境を求めている。

1-h1f9orTKkxY1bO6oDBSpRQ牧野さんと前田さん

「半径10mじゃないところの、色んな人と関われる」

Q,前田塾に入ったきっかけは?

一期の友人に教えてもらったのが知ったきっかけ。その時もう内定をもらっていて、でもビジネスのことを何にも知らなくて、今もけっこう知らないんですけど(笑)、もっと知らなくて。それで、案内を見たら財務諸表とか、Excelとか、ファイナンスの基礎にフォーカスしていて、しかも学生向けだから、そんなに怖くないだろう、「わかんないです」とか言っても怒られないだろうみたいな(笑)。
怠け者だから、一人で勉強できないし、サークルもバイトもしてないから時間の制約がないし、単純に「面白そうだな」と思った。あとは、二ヶ月という期間限定だったので、参加してみようかなと。
時間が合わなくて面接ができなくて、だから僕は前田塾史上初の面接なしでいきなり授業に現れた生徒(笑)。
Day1で初めて前田さんを見て、「すっごい若々しい人だなー」と思った。いきいきと、溌剌としてて。
何度もお会いする中で感じたのは、人に対する興味がすごく強いこと。僕名前覚えるのが苦手なんだけど、前田さんは、もう既にあれだけ塾生いるのに(約170人)、一人一人全員名前を覚えてるし、それぞれのことを詳しく知ろうとして、しかも覚えている。超絶的な記憶力。
限りある時間というリソースを学生に使ってくれる大人ってほとんどいなから、そういう意味でもすごく有り難い人。

Q,前田塾で学んだことは?

知識的なとこは、けっこう忘れちゃってる(笑)。
導入部分をしっかりやってもらったので、概念というか、そもそもBSってなんなのかとか、PLってなんなのかとか、Excelってただのマス目じゃないんだってこととか。知識じゃなくて、土台となる、これが分かってなかったら、枝葉だけおぼえてもしょうがないってところを教えてもらった。
今、入社して、色々勉強させられ…勉強してるんですけど(笑)。土台がわかってたら、勉強したときにすっと入ってくる。
あとは、「これから社会人になります!」という前提で前田さんと話すことが多かったから、その上でいろいろアドバイスをもらえたことは大きかった。
学生と社会人の世界ってぜんぜん違う。
でも学生はいくら説明会なんかで話を聞いても、なかなか具体的なイメージってわかないと思うんだけど、前田塾では、本当の生の声というか、経験豊かな前田さんや同期の社会人の方の話が直接聞ける。自分が社会人になるにあたって、不安に思ってること、楽しみにしてることを聞くと、率直に何でも話してもらえる。
それが良い心の準備になったというか、社会人になる覚悟みたいなものが出来た。

1-KIFt2jLzaHI3IooHGfovgQ絶対にしないと言いつつろくろを回してしまう牧野さん。
でも実は僕が一番言いたいのは、前田塾に来る「人」っていう部分。
当然色んな人が来てるじゃないですか、それこそ前田塾じゃなきゃ絶対会わないような人たちに出会えた。
今でも結構会うんですよ。つい先月も、僕らが入社するってことで集まってご飯食べたりだとか。塾生はみんな言うと思うけど、色んな人と強い繋がりが出来たっていうのは、すごい。しかも学生時代だと利害関係がない。何も背負ってないから。
例えば今だったら会社名をここで出せないとか(笑)、いろいろ制約があるけど。でも学生って何しても良い。その何でも出来る中でも、半径10m以内じゃないところ、学校とかバイト先以外のところで、色んな人と関われるってすごく贅沢な機会。
Q,どうして塾生同士がそんなに仲が良いんですか?

まず期間中は、土曜日集まって、夜までレクチャー受けて、夜は前田さんも含めて飲む!っていう、このルーティン。終わってからも、期の集まりもあるけど、1,2,3期で集まったりとか、期をまたいで集まることもある。僕は行けなかったけど、期をまたいで旅行したり。今でも期関係なく「なんとかの会」(例:女子会、二郎会etc.)みたいなのがあって。期間が終わってもそれっきりにならないように、前田さんに工夫していただいてる。それがあるからこそ、終わってからも前田さんと何回もお会いさせていただいてるし。

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「教科書をいくら読んでも分からないこと」

お二人が行ったのはイマカツ 六本木本店。美味しそう。いまだに強く覚えているのが、前田さんとトンカツを食べにいったんですよ。ランチを六本木で。
他の塾生は、塾生になる前に面談してるけど、僕は一対一で話したことがなかったから、「一回サシで飯でも行こう」って誘っていただいて。
話してて、印象に残っていることがあって。社会人始まると、勉強しなきゃいけないことがたくさんある。その話を僕すごくして。「これを学ぼうと思ってて」「これマスターしたいんですよね」みたいな。
前田さんがおっしゃったのが、「確かにそういうのも大事。一年目二年目の若い時は、出来ないことばかりだから、どんどん色んなことが出来るようになって、スキルが伸びる時期だから」「でも、スキルってみんないつか出来るようになる。どこかで必ず頭打ちになる。その時に、人間力、人間としての魅力とか、この人は信頼できる、そこで差がつく
本当にその通りだな、と思って。
スキルの部分で頑張らなきゃいけない時だからこそ、僕自身が長期の視点を全く持てていなかった。だから、スキルは勿論そうなんだけど、人間として、ビジネスパーソンとしての魅力を磨いていかなきゃ、と。
そういう文脈でとらえると、マナーとか、言葉遣いとか、身なりとかって、全部そこにつながる。全部意味がある。
「俺Excel早いからいいじゃん」とかじゃ駄目なんだなと。そういう人結構多いから。

そういう教科書をいくら呼んでも分からないこと、経験してる人だからこそわかることを、一対一の場面で教えていただいたことは、いまだに強く覚えてて、とても感謝しています。
そもそも前田塾の講座の内容だけを見て応募して、前田塾がどういう塾かはあんまり興味がなかった。それが良い意味で予想してたものと違って、期待以上の、求めていた部分と全く違うことまで結果的に学ぶことが出来た。知識・スキルの部分と、人との繋がり・人間力の部分。その両輪が大事だと。

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「もともとは質問とかあんまりしないタイプだった」

Q,前田塾を経て、変わったところはありますか?

インタビュー終了後に、「前田さんに質問したいことがあるんです」と仕事について質問をする牧野さん。選抜コースの日だったので、授業後の飲み会でほろ酔いの前田さんですが、質問にはきっちり答えます。以前は質問をしないタイプだった。仕事や何かやることがあったときに、自分で完璧だと思ってから聞いたり、提出したいタイプだった。
でも、前田さんと話して、人に教えてもらったり言われたことって、すごく勉強になるなと思って。
それから、どんどん聞いていこう、と。どうせ僕らは未熟なので、自分で完璧だと思っても全然完璧じゃない。だから、素直に謙虚にどんどん聞いていこう、と考え方が変わった。
前田さん相手に限らず、他のシチュエーションでもどんどん聞くようになっていて、それを実感したのが、仕事が始まってから。「自分ってよく質問するな」と思った。
いかにフィードバックを沢山、濃くもらえるかで、新人のうちのパフォーマンスは大きく変わる。人に聞く、アドバイスをもらうことの大切さを学んでいて良かった。
それは、前田塾の質問しやすい環境のおかげで。大学の授業では気づけなかった。前田塾は、一回の人数もそんなに多くないし、先生も前田さんだから、気軽に聞ける。それで、自分がエンゲージしていこう、関わろうという姿勢で勉強できたから、そこで変われた。

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編集後記
慶應医学部卒という経歴で「勉強好きじゃないんだよ」と言ってしまえる、しかもそれが全く嫌味じゃないというのが驚きでした。インタビュー中にも出てきた言葉ですが、これこそ「人間力」。外見もイケメンですが中身はもっとイケメンな魅力溢れる方でした。
ファイナンスの知識やエクセルのスキルは、言ってしまえば「教科書で学べること」です。では人間力はどうやって磨くのか?牧野さんの人間力は、人間力の高いたくさんの人に囲まれる環境があったからこそ、磨かれてきたのではないかと思います。
文責 黒田さくら
カメラマン 宮腰拓実