「女の子は楽しまなきゃ損!」東大法卒女子が半年で会社を辞めた理由

 いまや働く女性は一般的になってきているものの、日本特有のM字カーブ問題に代表されるようにまだ女性が一生を通して働きやすい環境になっているとは言えないのが現状。女子学生の就活において”働きやすさ”はキーワードの1つになっている。
 そんななか「ファーストキャリア選択は失敗しました!」と明るく話す高原里佳さんはどのような仕事観をもっているのだろうか?女性としての働き方の極意を聞いた。

 

高原さんv3
 

Topics

-レールに乗って歩んできた人生に終止符を

-普通の女であることを認めてあげる

-転職活動中に出会った前田塾

 

 

レールに乗って歩んできた人生に終止符を

 中高一貫の有名進学校から東京大学法学部へストレートで入学した高原さんは、新卒で大手鉄道会社に入社した。高原さんの昔からのモットーは『攻めと守りのバランスを大事にする』-しかし、「就職活動の際は人生の先のことまで想像しすぎて守りに入りすぎてしまった」と就活時代を振り返る。安定・ホワイトを選んで入社したつもりだったが、実際に入社してみるとやはりどうしてもその安泰すぎる環境に、自身の「攻め」の部分が黙っていられなくなった。 女性は出産までにある程度のキャリアを積んでおくべきだ、と考えていたこともあり、この会社は自分には合わないと気づいたらすぐに行動に移さなければ、と思った。半年で退職し、コンサル会社を選んだ。「自分が本当にやりたいことが何なのか、まだこの時点でもわかっていなかった。それを見つけるためにも、会社に依存しない、汎用的な力を身に付けられるようになるためにも、様々な業界に携われるコンサルタントを選びました。」
 転職して2年、今の仕事は面白いという。「意外と自分について正しく認識するのは難しいなと思いますね。社会に出てみたり、実際に結婚や出産をリアルに想像できる年齢になってきたりすると、25年間揺るがなかった価値観も容易に変わったりするだからそういう可変的な自分に対応できる自分を作っておくこと、そういう環境に身をおくことが大事だと思います。」

 

普通の女子であることを認めてあげる

 女性で良かったと思うことはありますか?という問いに対し、高原さんは「いっぱいあるよ!」と笑って答える。「一方で、最近になって自分の中で葛藤したこともあったかな、これはバリキャリを目指す女性なら皆悩むのではないかな」大学生の時はとがっていたいと思っていたし、将来はいわゆるバリキャリとしてとがり続けていたいと思っていた。しかし、社会に出て仕事を楽しむ一方、結婚出産をリアルに想像する年齢になるにしたがって、「何か特別なことをしている特別な自分になりたい」という気持ちが、逆に「何者かにならなければならない」という切迫感としてマイナスの形で立ち現われてきたのである。そして、「結婚し出産し産休をとる、家族ができたら家族との時間を一番大事にする」という生活もきちんと送りたいのではないか、という自分の内からの声に気付いたという。この葛藤に悩み抜いた末、今では「楽しいと思うことを全力で楽しんで遂行する自分になること」と「穏やかで充実した家庭生活」の両立を将来確立するための仕組みを模索中である。
 「幼い時から比較的きちんと勉強してきたし、色々なことにチャレンジして頑張ってきたわけだし、将来は何者かにならねばならない、男性に負けじとバリバリ働かなくてはならない、というこの義務感は、私と同様のバックグラウンドを持つ女友達とは良く共感し合っています。私はこれが義務感であると気づいたのが社会人になってからでした。就職活動の際は、それが本当に自分が人生で成し遂げたいことなのだ、と勘違していたのではないかと思います。」
 女性が社会においていきいきと輝くにはどうしたらいいのか。高原さんは男性と同じように頑張らなくてはいけない、会社の中で出世しなくてはいけない、というmustの発想ではいけないと考えている。 「私がファーストキャリアを選ぶとき、『将来のワークライフバランスを想定し準備しておかなくてはならない』という固定概念があったんです。10年後、20年後、子供が生まれて、年を取って体力も落ちてきたら確かに今とは状況が変わってくるかもしれないけれど、まだまだ若くて元気で自由もきく22歳の時点でそんなまだ見ぬ将来のために選んだ環境でモチベーションを持てないですよね。だから若いうちは今の自分がやりたいことをしっかりと見つめてそれをやってしまえばいいと思います。無理になったら転職しちゃえばいいんだから(笑)。『何とかなる、何とかする!』私のもう一つのモットーです。」

 
 

転職活動中に出会った前田塾

1期

前田塾選抜コース1期の様子

 

 高原さんが転職期間中に出会い、良い学びと出会いの場となったというのが「前田塾」だったという。「実は前田さんには大学時代からお世話になっていたんです。」大学時代に様々な方々と会うのが好きだった高原さんは共通の知人の存在で後に前田塾を主宰することになる前田さんと出会った。「前田さんのお家で開かれるホームパーティーによく呼んでいただいて、そこで様々な職種の社会人に会って職業観等うかがっていました」と語る高原さん。コンサルティング会社に入社するまでに時間をもらっていたため、その時間で少しでもスキルをつけたいと思っていた。そんなときに前田さんから「いまの高原さんにぴったりの講座はじめるよ」と前田塾の選抜コース1期生として誘われた。
 「前田塾では財務、Excel、Power Pointについて学びました。前田塾ではそれらについて特別詳しくなれるわけではないんです。ただ、自分の中にマップができる。」マップというのは、知らないことについての入り口の体系図のこと。それによって何から学んでいけばいいのかが分かり、知らない分野に対して勉強がしやすくなるという。「たとえば今の会社でM&Aの案件を担当したことがあって、具体的にはバランスシートぐらいしか知識がなかったのですが、会社の先輩が本を貸してくれた時も前田塾で財務についての全体のマップを自分のなかに作り上げていたから読みやすかったんです。」
 前田塾のもう一つの良いところは何といっても多種多様なバックグラウンドの人とつながれるところだ。「一期生のころは前田さんのお家に集まってのホームパーティーという形式でしたが、NPOをやっている人、大企業に入り新入社員として奮闘している人、起業準備中など様々な特色のある方と出会えました。最近では前田塾も期を重ねていて、期を超えたつながりや外部ゲストを呼んでいるイベントなどが行われており、また素敵な場ができていますね。社会人になって『このことはあの人にきいてみよう!』って思える人が各分野にいることはすごく大事で、そういう人脈づくりを学生のうちにできていると社会人になってから大きな財産になると思います。」

 

17期

2016年8月現在、選抜コース17期の様子

 

 

編集後記:
 現在は、出産後に仕事と育児の狭間で振り回されず、しかし両方とも欲張りに楽しめるように生きるにはどうしたらいいかを考えているという高原さん。取材を通して会社でも会社の外でもやりたいことにチャレンジし続ける、そんな生き方を感じました。最初のキャリアは大事ですが、まだ見ぬ社会を考えすぎて動けなくなってしまっては意味がないと痛感します。女性である自分を認めて「自分すべて」で人生を楽しむために選ぶキャリアは、きっと楽しいものだと思いました。

文責:宮嶋麻由

 

【高原里佳さん略歴】
福岡出身(小学6年生まで)→東京→桜蔭中高→東京大学法学部→JR東海→シンクタンク系コンサルティングファーム